下馬評覆す混戦に“策士”落合監督の心理戦、激戦で勝負の分かれ目とは？

２０日に終えた今年ブランドの新作激安通販の日本シリーズは、下馬評でも有利とされてきたパ・リーグ覇者のソフトバンクがセ・リーグ覇者の中日を退け、８年ぶり５度目の日本一に輝いた。ただ、決戦は予想に反する形で第７戦までもつれ込み、ソフトバンクがシーズン中やクライマックスシリーズ（ＣＳ）で見せた圧倒的な強さは鳴りを潜めた。一方の中日は、劣勢を跳ね返すべく落合前監督が描いたシナリオが最後に崩れた。両者の勝敗を分けた分岐点は、どこにあったのか。（小川寛太）

　■動揺させた策士の賭け

　チーム打率が１２球団トップの・２６７を誇ったソフトバンクが断然有利とされた今回の日本シリーズ。シーズンは８８勝４６敗１０分けと他チームを圧倒し、クライマックスシリーズ・ファイナルステージでも西武に３連勝で日本シリーズ進出を決めた。交流戦も１８勝４敗２分けで優勝し、１１球団すべてに勝ち越し。秋山監督も「（ポイントは）やってきたことをその場で出せるか出せないか。それだけ」と、「完全優勝」への自信を見せていた。

　一方の中日は、チーム打率がセ・リーグ最低の・２２８。チーム防御率は２・４６とセ・リーグトップだったが、それでもソフトバンクを下回り、正攻法で戦えば、中日の劣勢は必至だった。

　そこで、“策士”たる落合監督は一つの賭けに出た。第１戦の先発投手について、候補に挙がっていた吉見、チェン、ネルソンだけでなく、シーズンで先発した山井、川井、ソト最新入荷を含めた６投手に同じ調整をさせて相手を攪乱。当日のスポーツ紙の予想先発は、吉見、チェン、ネルソンで分かれ、落合監督の狙い通りだったか。実際に第１戦の先発マウンドには、チェンが登った。

　ソフトバンクは、チェンに今季２戦２勝と相性が良かったこともあり、初戦の先発はないと踏んでいた。「（先発は）外れは外れやったね」と小久保。読み違えた打線は、精神的に劣勢な状態となり、普段の積極性を失っていった。小久保や多村だけでなく、首位打者の内川もノーヒット。谷繁の好リードにも翻弄され、五回以降１本も安打が出ず、延長戦の末に１－２で敗れた。

　■狙いすました指摘

　断然有利と見られていたソフトバンクは、本拠地での初戦に敗れたことで、さらに精神的に追い込まれた。第スーパーコピーブランド腕時計２戦では、不安定な中日先発の吉見から何とか好機を作り、三回には１死一、二塁としたが、ここでも落合監督から揺さぶりをかけられた。打席に立った内川のバットについて、審判に確認を求めたのだ。

　内川のバットにはテーピングが施されており、いったん外して中身まで確認。野球規則には抵触しないという判断が下った。谷繁は「前日から気になっていて、確認しただけ。たまたまああいう場面になった」と釈明したが、敵将が仕掛けてきた重圧に負けたのか、内川は凡退。この試合もソフトバンクは１点しか奪えず、１－２でまさかの連敗を喫した。

　２年連続出場の中日が、８年ぶりのソフトバンクに勝っていた「経験」。シリーズ初出場の選手も多かったソフトバンクは、心理戦で中日に完全にのまれていた。

　敵地ナゴヤドームでの３連戦は、選手層と力の違いを見せつけたものの、本拠地ヤフードームに戻った第６戦は、８年ぶりの日本一に王手がかかった状況が、自らの首を絞めた。前日に、内川が「流れとしては一気にやっちゃいたい。早く終わらせたいのが一番」と話したように、気持ちが先走った。一回から、三者連続三振。第５戦まで全試合で安打を放ってきたリードオフマンの川崎に当たりが止まるなど、３連勝の勢いは、確実に失われていた。

　■心理戦に敗れた中日

　「何となくそんな予感はしていたよ」とは落合監督。第６戦を終えて本拠地で１勝もできていないソフトバンクの状況に不敵に漏らした言葉だ。最終決戦を前に、ソフトバンクを心理面からさらに追い詰める意図もあったとみられる。日本一は、中日にとっても４年ぶり。ただ退任が決まっていた落合監督は、在任８年間で４度もセ・リーグ優勝しながら「リーグ制覇→日本一」の経験がない。悲願に向けて３勝３敗で迎えた第７戦では、中日にも重圧がかかってしまったことが、指揮官には誤算だった。

　三回に、ソフトバンクが先に好機を作った。無死二、三塁で、中日先発の山井は、９番打者の山崎に１球もストライクが入らず四球を与えた。たまらず落合監督は、川崎、本多と続く左打者に左腕の小林正を投入。しかし、強烈なプレッシャーに押しつぶされたのか、川崎に押し出し四球を与えて先制点を許してしまう。続く本多の場面でも、小林正はストライクを取るに四苦八苦し、明らかなボール球を投じると、慌てて谷繁がマウンドに駆け寄って活を入れる場面も。中日側の方が、精神的に追い込まれていた。ソフトバンクは四回と七回にも１点ずつ加点。先制、中押し、ダメ押しと効果的に得点し、３－０で日本一を決めた。

　秋山監督は優勝インタビューの第一声で「正直疲れました」と絞り出すようにいった。選手会長の川崎も「緊張した。死にもの狂いでした」と根負けしなかったチームに胸を張った。

　一方の落合監督は２２日に開いた退任会見で、代名詞ともなっていた“オレ流”采配について「普通のことを普通にやっていく」と話し、それが勝利への近道と説いた。ソフトバンクに、普通のプレーをさせないように敷いた心理戦。第７戦にまでもつれた要因は、そこにあった。