城島、六回の大チャンスに送りバント

 　「オリックス１０‐６阪神」（２１日、京セラ）
一打同点の形となり、さらに増した期待感。豪快な一打を見られなかった喪失感。城島がバントを成功させた瞬間、スタンドに歓声とどよめきが交錯した。六回無死一、二塁だ。新井の中越え二塁打と金本の四球で、大逆転劇への夢が一段と膨らんだ場面。予想外の犠打という結末に、虎党からも複雑なリアクションが起きた。
一発出れば、試合がひっくり返る局面だった。五回に一気呵成（かせい）の攻撃で６点を返し、阪神で「ブルイヴィトン　ダミエ キャンバス　ビジネスバッグ」は７８年以来となる「８点差逆転」が現実味を帯び始めていた。そこでつかんだ大チャンス。迎えるは、前の打席で追撃の左線二塁打を放っていた城島だ。高まった球場のボルテージに反して、飛び出した三塁前への初球バントであった。
後続が打っていれば、犠打の価値も増しただろう。だがブラゼルが空振り三振、桜井が三ゴロで無得点。追撃ムードは潰（つい）え、以降は走者を１人も出せずに敗れ去った。犠打はサインだったのか、自分の判断だったのか‐。試合後にあの場面を問われた城島は、「サインですよ。僕は出「ルイヴィトン」たサインの通りに事を進めないといけないですからね」と振り返った。
真弓監督は対照的に、「どうなんかね。そこまでは言われへんな」と言葉を濁した。結果論になるが、強行策で無得点ならばファンの反応も異なったはずだ。打って欲しかった‐。それが見守った虎党の願いだったに違いない。