ダイソンが次に狙うのは「ドッグオーナー」！ “犬用ブラシ付きモデル”の実力を検証

 　ダイソンが、犬用グルーミングツールが付属したサイクロン式掃除機「ダイソンカーボンファイバーDC26　モーターヘッドペットケア」を発表した。

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これは、モーターヘッドタイプの同社最小モデル「DC26」に、ステンレス製スリッカーブラシが付いたグルーミングツールがセットになったもの。愛犬の抜け毛や古い角質をスリッカーブラシで取り除いた後は、そのまま掃除機に吸い込まれる仕組みになっている。普段の掃除では室内に落ちた抜け毛などをカーボンファイバーブラシ付きモーターヘッドでキレイにし、グルーミングのときに飛び散る抜け毛の不満はこのツールで解消してほしいというわけだ。

今回の製品について、同社シニア・デザインエンジニアのMartin Peek氏は、「犬は人間にとって大切な友だが、抜け毛の問題にはペットを飼っている人たちの誰もが悩まされてきた。愛犬へのグルーミングは欠かせないが、これまでのブラシでは、取り除いた毛が落ちてしまうことが多く、掃除が大変。また、アレルギーの原因となるアレルゲンは抜け毛だけでなく、犬の皮脂や毛に付着した唾液などにも含まれるので、グルーミングによって取り除いた毛はすぐに処理する必要がある」という。

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ブラッシングをする際には、掃除用のヘッドとパイプを外し、グルーミングツールをセットして使う。ツール上部のトリガーを指で押した状態でブラッシングし、指を離すと毛が掃除機本体に吸い込まれる。毛だけでなく皮膚の角質も取り除くことができ、トリガーの押し具合によってブラシの長さや吸い込む空気の流れを調節することも可能。使っていないときはブラシの針部分は内部に格納される仕組みになっている。

ブラッシングに苦労しているオーナーは多い

しかしなぜ今、ペットケアモデルなのか。

ダイソンの発表によると、現在、日本の世帯数の約20％、約960万世帯が犬を飼っており、そのうち約80％の世帯では室内で飼育しているという。そうしたなか、特に住宅密集地などではペットの飼育における苦情も増加。そうした背景を受けて、環境省が今年3月にはペットの飼育に関わるガイドラインを制定。そこにはマンションの共有部分となっているベランダや公園でのブラッシングを控えることや、抜け毛などを排水管に流さないようにすることが明記されている。

中型～大型犬の場合、室内でブラッシングした際の抜け毛の飛び散り具合は相当なものになる。特に柔らかい下毛と固めの上毛を持つダブルコートの犬種の場合は、年に2回の換毛期には大量の下毛が抜けるため、グルーミングに苦労しているドッグオーナーが多いのが現状だ。散歩の途中にブラッシングをしている様子もよく見かける。

しかし、普通のペットブラシでブラッシングをすると、ブラシに毛が絡まってしまい、それを取り除くのにかなり手間がかかる。そのため、米国製ペットブラシのなかには今回発表されたダイソンのスリッカーブラシと似たような構造で、ブラッシング後の毛が簡単に取り除けるようなものもないことはない。だがかなり高価なうえ、掃除機につなげるタイプではなく、あくまでブラシ単体のものなので、「ブラッシング→抜け毛の処理」が一度にスムーズにできるとはいえない。

掃除機につないで使うペットブラシは国内メーカーでは以前ナショナル（現パナソニック）から「ペットクラブ 吸毛ブラシ」という製品名で発売されていたが、現在は販売されていない。海外製のものはネット通販などで2、3の製品があるが、すべての掃除機に使えるわけではなく、それほど広まっていないようだ。掃除機メーカーが「ペットケアモデル」として、自社のフラッグシップモデルとの組み合わせで独自のグルーミングツールを投入するのは、画期的といえる。

【試用レポート】スイッチを入れる前から逃げ出した！慣らすには時間が必要だが、ブラッシングはかなり快適に

気になるのが、犬はこうしたグルーミングツールを嫌がらないのかどうか。そこで、わが家の9歳になるラブラドールレトリーバーに早速試してみた。

発表会会場で、ゴールデンレトリーバーをモデルに実演をしたヒューマン・ドッグトレーナーの須崎大氏が「DC26ペットケア」を使ったブラッシングのトレーニング方法として、「まずはクリーナーの存在に慣れさせた後で、ブラシツールのみを使ってブラッシングし、最後に掃除機につないでスイッチを入れる」と説明していた。以前からDC26は使っているので、ブラシツールに慣れさせるところから始めることに。

最初はスリッカーを出さずに、慣れたらスリッカーを出して力を入れないように軽くブラッシング。この段階では特に嫌がったりはしなかったので安心して掃除機に接続したのだが、スイッチを入れる前から気配を察して逃げ出してしまった。

というのも、先に説明したナショナル製の掃除機吸引型ブラシをたまに使っていて、これがどうにも好きではないようなのだ。原因の1つは掃除機の音、もう1つは毛を吸い込んでいく感触が苦手だかららしい。そのため、シャンプーをして乾かした後など、毛が大量に抜けるときだけ、なだめすかして使っていたのだ。

ただ、ダイソンのグルーミングツールでは、トリガーを押して使用する際には、犬の体に触れないツールの上部にも吸気口ができ、吸い込む力が分散されるので、音の大きさに比べるとソフトな吸引になっているはず。わが家のラブラドールもしばらくすると慣れた様子で、“伏せ”の姿勢でブラッシングされるようになった。通常のペットブラシだとブラッシング後に絡みついた毛の処理が大変なのに、グルーミングツールから親指を離すと同時に一気に抜け毛が吸い込まれるのは、何とも小気味よいものだ。

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上毛（黒くて太い毛）は短いこともあって、床に少し落ちてしまったが、これは後から普通に掃除機をかければすむことなのでたいして気にならなかった。ゴールデンなどのミディアム～ロングコートの犬種なら一度に上毛も下毛もきれいになるのではないだろうか。音も含め、少しずつ慣れさせていくようにして、焦らなければ快適なグルーミングツールとして機能していくだろう。